令和3年11月19日(金)

総選挙の分析と向後の政治への展望!

  
髙橋利行先生

髙橋利行先生

政治評論家・元読売新聞論説委員・解説部長新聞監査委員長


講話概要

 私も、長年世論調査を担当していたが、接戦となっていた選挙区で軒並み与党候補が勝利するという、従来通りの出口調査や電話による調査の結果とは大きくずれ、今までの常識が通用しない選挙結果となったため、新聞・テレビ・雑誌の事前予測が外れたのもよくわかる。
 投票率が低かったことも、与党の組織力にとって有利な結果となったが、この選挙期間中にも、北朝鮮がミサイルを発射したり、中国・ロシアの艦船が津軽海峡や大隅海峡といった日本の領海を一周するなど、厳しさを増す国際軍事情勢を、有権者が認識し、共産党が政権に参画する野党共闘を選択しなかった結果だ、といえる。しかし、圧勝とはいっても、自民党の議席数は減っており、いわば薄氷の圧勝というべきである。今後は、自民党内改革が、必要となってくる。
 米中対立も、今後の政治に大きく影響する要素だ。冷戦時代は、ソ連に親しい感情を持つ日本人が少なく、西側陣営につくのは自然な流れであったが、中国が相手となると、経済界の反発は避けられない。政界内でも、親中派は多く、岸田内閣には難しい舵取りが求められる。
 防衛予算の引き上げや、憲法改正の議論も、今後本格化して行くだろう。自民党・公明党の与党を初め、維新の会と国民民主党を巻き込めば、憲法改正の発議に必要な衆参両議院で3分の2を超 す。来年夏の参議院選挙に向け、維新の会の課題は、大阪やその周辺にとどまらず、全国組織を持てるかどうかである。

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