令和5年10月20日(金)

真田幸光先生

真田幸光先生

真田幸光先生

国際経済金融学者・愛知淑徳大学教授


講話概要

 覇権国は、水・食糧・エネルギー・原材料・物流を押さえ、これらの決済通貨としてドルを基軸通貨としている。そして強大な軍事力で覇権国の地位を担保している。ロシアは、天然ガスなどの資源をルーブル決済にすることによって、欧州経済に打撃を与えた。これを見た習近平は、原油の取引を人民元決済でもできるように動いている。一帯一路を軸に、人民元がドルの地位を奪い、覇権も握ろうとしている。宇宙の開発も先行して行っている。
 習近平は、毛沢東・鄧小平に並ぶ業績として、台湾併合を狙っている。軍事侵攻の確率は低い。今は米英の方が軍事力では上で、ウクライナ侵攻でロシアが疲弊していることをよく見ている。台湾と国交のあった国に経済援助して断絶させ、台湾内部で親中派を増やすなど、台湾の方から中国への併合を申し出る形を意図している。もちろん、軍事侵攻の確率は0ではないから、日本は油断できない。
 米英と中露による新しい冷戦が始まっているといえるが、昔の冷戦との最大の違いは、インドを中心としたグローバルサウスが同じ程度の発言力を持ちつつあるということだ。これらの国々が国連安全保障理事会常任理事国入りを主張し、運営に支障をきたし始めている。アメリカの国内も二分されており、アメリカが中国側についてしまう可能性もある。日本としては、そうなった時にいかに対処するか。内需だけでやっていけるような体制作りも必要になって来る。


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