平成24年7月20日(金)

見えない戦争に巻き込まれている日本! 
── 恐るべきサイバー戦の脅威 ──

伊東寛先生

伊東寛先生

工博、(株)ラックサイバーセキュリティ研究所長、元陸上自衛隊システム防護隊長

講話概要

 サイバー戦とは、一般には、コンピュータやネットワーク技術を利用して機密情報を盗むことをいうが、その手段方法が多種あるので、確立された定義はまだない。国家間で敵性国の機密情報を盗んだり妨害することは、いまに始まったことではなくかなり以前からあるとし、その各種の例を挙げられた。日本に限っていえば、昨年あたりから、三菱重工はじめ防衛産業から、パソコンにウイルスを感染させる方法で、戦闘機やヘリコプターの設計図など防衛機密情報が流出したことが分かった。省庁や国会の機密情報の漏出も分かってきている。企業でも、原子力発電所の設計資料やその社員数千人の資料の流出などが報道されている。
 軍事的にも、すでに冷戦時代のソ連機が、東京上空へ近づいて、自衛隊機がスクランブルすると引き返す「東京急行」が行われていたが、現在も、ロシア大型機が日本列島を一周するなどしている。これは、自衛隊機の反応時間の測定調査はもちろん、レーダーの周波数を調査しておき、いざ戦争というときには、妨害電波を流して、日本のレーダーを無力化するためと考えられる。こうして、いまや、サイバー攻撃は、政治分野・経済分野・防衛分野へ及んでおり、これに対処できる各種の技術とその人材の育成が必要であり、また、これに対する法律の整備が必要であると訴えられた。一同、その実態解説に戦慄し、質疑応答も盛んでした。

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