平成24年9月12日(水)

有事に対応出来ない国防の実態! 
── 法の不備、自衛隊員と装備の不足 ──

清谷信一先生

清谷信一先生

軍事ジャーナリスト、清谷防衛経済研究所長

講話概要

 要旨は、機密に属する面もあるので、ここに詳述しませんが、まず自衛隊は、士長以上将官の充足率は100%だが、いわゆる兵卒の充足率は約40%で、こうした比率では戦闘がむずかしい。これは、防衛予算の削減の結果だが、防衛予算を増やして早くこの比率を改善すべし。近代戦は情報戦であり軍用無線の完備が必要だが、自衛隊の無線装備は外国に太刀打できない。諸外国では監視・偵察目的の無人航空機(UAV)の導入が進んでいる。自衛隊はこの分野で遅れている。むしろ、中国人民解放軍の方が無人偵察機は進んでいる。空自のRF−4J偵察機のカメラはフイルム現像方式だが、諸外国は画像送信方式をとっている。空自には空自総隊、海自には海自総隊があるが、陸自には5方面隊を統合運用する組織がないので、陸自と空自と海自が統合作戦をとることができない。また、陸 ・海 ・空の装備調達について、K重工との癒着が報道に出たが、業者側が仕様書を作成することが多く、したがって、自衛隊が本当に欲しい装備は予算に計上されない。3 ・11の東日本大震災の際に、一挙に10万人以上の自衛隊員が動員されたが、防寒装備も足りず雪の降る中、寒さに震える部隊もあり、そうした情況下、外敵が侵攻したら、ひとたまりもなかった。等々のお話があり、慄然としました。

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